2026.08.13

Visual Bank、「Qlean Dataset」の権利クリア済みデータをHugging Face Hubでアカデミア向けに無償公開

〜 権利クリア済み日本固有データをアカデミアに開放し、AIの研究現場の多様性向上に貢献〜

Visual Bank株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:永井真之、以下「Visual Bank」)は、傘下の株式会社アマナイメージズが展開する基盤モデル向けAI学習用データソリューション「Qlean Dataset(キュリンデータセット)」において、アカデミア(大学・研究機関およびそこに所属する研究者)を対象に、Hugging Face Hub上でデータセットの無償公開を開始します。

大学・研究機関等に所属する研究者は、専用の「アカデミア・リサーチライセンス」のもと、データの閲覧・品質評価にとどまらず、学術研究目的でのAI/MLモデルの学習・ファインチューニング・評価、学術論文での引用・発表までを無償で行うことができます。また、学習したモデルの非商用・学術目的での公開も可能です(※1)。

本取り組みは、当社が2025年に開始した「アカデミア支援プログラム」による10以上の研究室への支援実績をもとに、その枠組みを世界中のAI研究者・開発者が集うHugging Face Hubへと広げるものです。

※1 商用利用には、別途商用ライセンス契約が必要です。

背景と狙い:日本の研究現場が抱えるデータの構造的不足と、日本固有データの無償公開

基盤モデルの開発競争が本格化するなか、質の高い学習データの確保は、AI研究の成否を左右する要素となっています。しかし、研究予算が限られるアカデミアでは、データの収集・権利処理・整備にかかるコストが大きな壁となり、研究に必要なデータを独自に確保することが困難な状況が続いています。
その結果、研究に使えるデータは海外発の公開データセットに集中しています。世界中のAI研究者・開発者が利用するHugging Face Hub上で、日本語のデータセット数は約3,000件と全体の約0.3%にとどまり、英語(約8.5万件)の約30分の1にすぎません(※2)。しかもその多くは海外で構築された多言語コーパスに含まれる日本語部分であり、日本で企画・収集されたデータはさらに限られます。大規模言語モデルの事前学習の主要な供給源であるWebクロールデータ(Common Crawl)においても、日本語が占める割合は約5%にとどまります(※3)。
世界中の研究者が同じ限られた公開データで研究を行う結果、研究成果の差別化はますます難しくなっています。加えて、AI研究における産業界の影響力が拡大していることは、先行研究においても指摘されています(※4)。さらに、Stanford HAIの「AI Index Report 2025」によると、2024年に発表された主要なAIモデルの約90%を企業主導のモデルが占めており、2023年の約60%から大きく上昇しています(※5)。とりわけ、方言を含む日本語の対話音声、日本の風景・文化を捉えた画像、日常・産業現場の動画といった日本固有のデータは、オープンなプラットフォーム上にほとんど存在せず、日本ならではの研究テーマを深めるうえでの制約となってきました。

Visual Bankはこの構造的課題に対し、株式会社アマナイメージズを通じて2025年より「アカデミア支援プログラム」を展開し、80種50万点以上のデータセットを研究開発用途に無償提供してきました。支援先は東京大学・理化学研究所・産業技術総合研究所をはじめ、これまでに10以上の研究室にのぼります。

今回の公開は、アカデミア支援プログラムの枠組みを、世界中のAI研究者・開発者が集うHugging Face Hubへと広げるものです。権利処理された商用グレードのデータセットを、アカデミアが研究に自由に活用できる形で公開します。
これにより、研究者が日本固有のデータを起点に、独自の研究を積み上げられる環境づくりに貢献してまいります。

※2 Hugging Face Hub上の公開データセットのうち、作成者が言語タグを付与したものを集計(2026年7月時点、当社調べ)。日本語タグ付きは3,942件、英語タグ付きは85,069件。なお、言語タグは任意付与のメタデータであり、同Hub上の公開データセット総数(約105万件、画像・音声等の非テキストデータを含む)の大半はタグ未付与のため、本集計対象外。
※3 Common Crawl. "Distribution of Languages". Common Crawl 公式統計における言語別ページ構成比より。
※4 Ahmed, Nur, Muntasir Wahed, and Neil C. Thompson. “The Growing Influence of Industry in AI Research.” Science, 2023.
※5 Stanford Institute for Human-Centered Artificial Intelligence. AI Index Report 2025. Stanford University, 2025. 同報告書によると、2024年に発表された主要AIモデルの約90%が企業主導であり、2023年の約60%から上昇している。

内容

■ 初回公開ラインアップ(一部抜粋)

日本語・2話者・感情を含めた対話音声データセット

4種類の感情(興奮・怒り・悲しみ・喜び)を含んだ対話音声を収録。1点あたり20分程度。

日本語2話者LR分離済みプライベート対話音声・トランスクリプト

2者によるプライベートな対話音声を各チャンネルを分離して収録。1点あたり60分程度。

装飾品装着ありなしの日本人・老若男女・顔画像データセット

装飾品有無や顔角度など様々なシチュエーションでの日本人200名分の顔画像を収録。

日本人・新卒採用選考の自己PR動画データセット

就職活動における「自己PR」シーンを再現した動画を収録。学生72名がカメラに向かって自身の強みやエピソードを話す。

■ 公開形式

Hugging Face Hub上の Qlean Dataset Organization 配下に、Qlean Datasetが権利を保有するデータセットを順次公開します。Qlean Datasetの特長であるリッチなメタデータも、権利クリアな形で併せて掲載します。

■ 利用条件(アカデミア・リサーチライセンス)

対象者

・大学・高等教育機関・研究機関・政府系研究機関に所属する教職員・学生(学術研究目的)
・研究成果を学術媒体で公表することを目的とする独立研究者
・商用ライセンス契約の検討を目的として適合性を評価する個人・組織(本番環境での利用は不可)

無償で許諾される用途

データの閲覧・検査/品質評価・非商用ベンチマーク/学術研究目的でのAI/MLモデルの学習・ファインチューニング・評価/学術論文・学会発表での引用・公表/学習済みモデルの非商用・学術目的での公開

対象外・禁止用途

AI/ML製品・サービスから収益を得ている組織(研究部門を有する場合を含む)によるモデル学習/商用製品・サービスへの利用/再配布・ミラーリング・転売

クレジット表記

「データ提供:Visual Bank / Qlean Dataset(株式会社アマナイメージズ)」

商用利用

別途有償ライセンス契約による提供(問い合わせ窓口:https://qleandataset.visual-bank.co.jp/contact

準拠法/管轄

日本法 / 東京地方裁判所(第一審・専属的合意管轄)

※詳細な利用条件は、Hugging Face Hub上の各データセットページに掲載するライセンス全文をご確認ください。

■ Hugging Face Hubページ

https://huggingface.co/qleandataset

支援先研究者コメント

金沢工業大学 情報フロンティア学部 メディア情報学科 松下裕教授

権利処理がなされた日本語音声データは研究に安心して活用できる貴重な資源であり、研究開発を進める上で大きな助けとなっています。我々は、映像に吹き出し型字幕を与えることを目的にして、登場人物の音声から(喜びや怒りなどの)感情を予測する研究を行っております。今後、感情の強度がより細かく付与されたデータが充実すれば、強度までを含めた各感情の予測が可能になります。また、権利クリア済みの日本語データは各感情の予測精度の向上に役立ち、感情の種類に応じて吹き出し形状を変えられるので、聴覚障害者に対して優しい字幕付与になり得ると考えております。
研究成果としては、5つの感情をCNN(畳み込みニューラルネットワーク)にて分析し、非常に高い精度で予測を行うことができました。貴重なデータをいただいたおかげと、深く感謝しております。今後はさらなる精度向上を目指し、ネットワークに中間層を追加することでモデルを拡張し、分析を深めていきたいと考えております。

今後の展望

今回の初回公開を起点に、音声・画像・動画など複数モダリティのデータセットをHugging Face Hub上で順次追加してまいります。あわせて、アカデミア支援プログラムによる国内研究機関への個別支援も継続し、研究テーマに応じたデータ提供やカスタム収録の相談に対応します。権利クリア済みの日本固有データが世界中の研究の起点として使われる状態をつくり、日本のAI研究の独自性向上に貢献してまいります。

『Qlean Dataset(キュリンデータセット)』について

『Qlean Dataset』は、Visual Bank傘下の株式会社アマナイメージズが提供する、基盤モデル開発向けAI学習用データソリューションです。
アマナイメージズは40年以上にわたり、ラジオ局・出版社などの権利者からデータを正規に預かり、世に流通させてきました。「守るから、預けていただける」という、データの権利を守ることを事業の中心に置き続けてきた、その体制そのものが Qlean Dataset の土台になっています。
Webには存在しない一次データを権利処理し、学習に使える状態で届けてきた実績が、国内外の基盤モデル開発者への大規模納品として結実しています。
音声・画像・動画・3D・テキストなど多様なモダリティに対応し、国内外のデータホルダー・メディアとの協業によるデータラインナップを随時拡充しています。カスタム収録・収集にも対応しています。

Qlean Datasetサイト:https://qleandataset.visual-bank.co.jp/
AIデータレシピ:https://qleandataset.visual-bank.co.jp/lineup
お問い合わせ:https://qleandataset.visual-bank.co.jp/contact

Visual Bank株式会社

AI開発力を最大化する次世代型データインフラを構築・提供するスタートアップ企業として、「あらゆるデータの可能性を解き放つ」をミッションに掲げ事業活動を展開。漫画家の「もっと描きたい!」をサポートするAI補助ツールを提供する『THE PEN』、AI学習用データセット開発サービス『Qlean Dataset(キュリンデータセット)』を提供する株式会社アマナイメージズを100%子会社に持つ。
また、Visual Bankは国の研究開発プログラム「GENIAC」にも採択され、社会実装に向けた取り組みを加速させています。

代表取締役CEO:永井 真之
所在地:〒107-0062 東京都港区南青山7-1-7 C-Cube南青山ビル6F
Visual Bank企業URL:https://visual-bank.co.jp/
アマナイメージズ企業URL:https://amanaimages.com/about/

    株式会社アマナイメージズ

    Visual Bank株式会社


    © amanaimages inc.